■ 抄録・要旨
| 揮発性メチルシロキサン(VMS)は、耐熱性、電気絶縁性、化学的安定性をもつ物質で、多くの産業分野で使用される高生産量化学物質である。一方で、VMSの一部は、環境残留性、生態毒性、さらには生物蓄積性をもつとの報告があることから、新規のPBT候補物質として近年注目されている。発表者らは、VMSの中でも国際的に優先してリスク評価が取り組まれている環状及び鎖状の4〜6量体を中心に、分析法開発、発生源データの整備、水環境中への排出実態把握、環境動態解析に取り組んできた。ここでは特に、東京湾集水域を対象に行った河川水、底質、魚類中のVMS濃度分布調査結果、下水処理施設を対象に行った生活排水に起因するVMS排出実態調査結果について報告した。また、VMSの毒性情報を用いた環境・生態リスク評価についても報告した。
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